とりあえず抑えるべき「売れる商品開発のポイント」

とりあえず抑えるべき「売れる商品開発のポイント」

今回のテーマはこれです。
「限られた時間内で開発した新商品でも出来るだけヒットさせたい」
と言うご要望に対して、
私たちは様々なマーチャンダイジング的な視点から、できる限りご期待に添えるような商品開発→販路開拓→PR→顧客醸成までを、そのプロダクトに合った形で、最適なノウハウをご提供させていただいておりますが、
これを実践するにはどうしても多少の時間が必要です。

しかし現実問題、
例えば「何とかして数ヶ月後の展示会で発表しないといけない」
と言った、じっくり考える猶予のない商品開発の時(本来、これは避けるべきですが、そうも言っていられない大人の事情もあったりします)など、
所謂「見切り発車での商品開発」ケースの発生事例は少なくありません。

身も蓋もない話ですが、
そんな条件下で開発した商品がヒットすることはかなり稀である、
と言うのが実情です。

確かに、売れる商品はひとりでには決して出来上がりません。
時間があまり無い、市場調査やアイデア出しが充分で無い時は特に、
作り手の得意なこと、作りたいだけのもの、
素材や製法、技術的に「これしかできない」と言う理由で無理矢理こしらえたもの、とにかく予算も時間も人もない中なので、
発表納期にただ間に合わせただけのモノなどなど、
方向性に自信が持てない中で商品開発を走らせてしまいがちです。
当然ですが、モノづくりの前提や根拠にしっかりとしたマーケティング(戦略立て)が無いままで商品開発を行う限り、まず間違いなく「売れる商品」は作れない、と考えた方が正しいと思います。
ですので、
【マーケティングをしっかり行う】

これは間違いなく一つの答えではありますが、
それでは今回の事例に於けるポイントの説明になっていません。
そもそも、
この「マーケティング」ってのは、何をどうしたら良いの?
と言うご質問が事業者さんから非常に多いですし、
裏を返せば、それはマーケティングの重要性を様々な講習会や専門家の講義含め、色々な機会で耳にタコが出来そうなくらい聞かされていて、
それを形にしたい、と言う思いも強い内容だと思いますが、
それをここで長々と説明するのは無理がございますので、
(別途ご相談を承ります)
ここでは、もっと端的な「開発のポイント」だけをお伝えします。
これは言うなれば、マーケティング不在の中での商品開発時に倒すべきセンターピンのようなもの、と考えていただいて結構です。

私は自分自身がバイヤー・マーチャンダイザーでもありましたので、
自分で店や商品を作ることが数多くありました。
ヒット商品以上に多くの大ゴケ商品も作りましたが、
主にはその実践で学んだマーケティングの考え方ですので、
果たして世の中の「マーケッターさん」達と同じ切り口でそれを語り尽くせるか、と言えば、
もしかしたらそれらとは若干違うかも知れません。
しかし、
モノづくりに於ける、マーケティングの効能はつまるところ、
「ターゲットのお客様(消費者)の生活を良くすること」
を自分の商品でどのように、どの部分で、何を用いてその役割を果たすのか、
それらをモノづくりにどれだけ反映させるべきか、
と言う、開発商品に反映すべき項目を絞れるようになることだと思っています。
項目を絞らないで商品開発をすることは不可能ですし、
絞ってはいけない項目を絞り、
絞るべき項目を付加してしまったらそれは絶対に売れない商品となります。
マーケティング不足の商品開発は、この項目の絞りこみの段階で選択ミスを犯すことが非常に多くあります。

つまり、
「お客様のベネフィットに寄与出来ることをプロダクトで表現し、伝えるための戦術を絞りこみ=明確化することがマーケティング」
なのです。

しかし、
このお客様のベネフィットが・・・、
要するに言ってしまえばお客様のことが「全然わからない」と言う事業者さんが決して少なく無いのが現実です。
「大消費地で販売をしたことがない」
「卸業者さん任せでお客様の声がわからない」
「外部のデザイナーの言う通り作ってみたけど売れない」
こう言った声は非常に多いです。

確かに、
集客のある店頭で、多くの直接販売を実際になさっている事業者さんの方が少ないと思います。
だから、お客様の声が分からない・・・・。
よって、マーケティングに必要なお客様のベネフィットなんちゃらは皆目分からん・・・。

もちろん、このご意見、理解できる部分もありますが、
しかし、
大消費地の大型店舗で販売をするだけがお客様のベネフィットを考えられる機会ではありません。
もう少しだけ戦略的に(つまり選択的に)
そのモノづくりのコンセプトを、まずはある項目に「絞る」だけで、
かなり「売れる商品」に近づくと言うことをお伝えしておきます。
これが今回のポイントです。
(ポイントであってもちろん全てではないです)

例えば、「数少ない数件のお客様アンケート」「SNSやブログでの誰かのコメント」「家族の意見」「従業員が見つけてきた何かの記事」「知り合いや友達のアドバイス」「イベントで手伝ってくれた一期一会の販売員の意見」「素材的な理由」「パッケージデザイナーの感覚」「コンサルや税理士の所見」みたいな、
とりあえず外部からの五月雨式な様々なご意見を「マーケティング」=「お客様の声」と無理矢理位置付けて、
それらの意見の属性や取捨さえ分類されぬまま、
やれ価格がどうだ、デザインはどうだ、色はこちらが良い、
パッケージは丸より四角が良い、
などとあれこれ同時多発で思い悩みながらモノづくりに取り組むよりも、
ずっとずっと「売れる商品」に近づくのです。
先にも述べましたが、これは商品開発のセンターピンなのです。

その絞るべき項目とは、「機能」です。
お客様のベネフィットを具体的に想像できない、
実際に売ってみないと分からない、
つまり、結局何を作ったら良いか分からない。
そんな事業者様は、
まずはとにかく機能を追求したものを考えてください。
デザインだ、テイストだ、コーディネートだ、センスだ、色だ、パッケージだ、ロゴだ、HPだ、
そんなものは後、後、後回しで良いです。
これらがブランドの価値を生み出し、魅力を発し、
商売を円滑に回すようになるにはMDのストーリー作りが必要で、
それには時間と手間が必要です。
(もちろんいずれやらないといけない事柄です)

ですので、
時間のない方、
予算の関係などですぐに新商品を作る必要がある方、
マーケティングとかややこしいことはさておき、
とりあえずイベントが決まってしまってる方。
(非常に雑駁なようですが、そう言うシチュエーション少なくないんですよね)
まずはベネフィット=お客様の便利を助ける=「機能」で助ける
を考えてください。
機能を競合よりも向上させることは「お客様の声」を店頭で集めなくとも、
技術的な課題解決でできることが多く、且つ、絶対に外さないお客様のベネフィットになります。
「軽い」「小さい」「大きい」「フィットする」「たくさん入る」「持ちやすい」「取り回しやすい」「外せる」「つけられる」「転ばない」「立つ」「寝る」・・・などなど
今開発の諸に立っているそのプロダクトを機能面でいかに充実させられるか、
そこをまずは追求してみてください。

ここでは割愛してしまいますが、
色々なことを考える前にとにかく「機能追求」から開発を進めるだけで、
各種準備不足であったり、自分自身が「これで良いのか?」と疑問だらけで商品開発を進めるよりも、一層、段違いに強い、売れる商品に成り上がる可能性を獲得できるようになります。
例えば、素敵な色、素敵な素材、素敵な技術、
どれも素晴らしい要素ではありますが、
お客様のベネフィットを体現し、生活を豊かにする要素としては弱いのです。
その売りである筈の「要素自体が絶対的に弱い場合」もありますし、
「競合に対して相対的に弱い場合」もあります。
前者は生産者側が「勝手に素敵である」と考えているだけで、
お客様はそれをちっとも求めてさえいない場合、
後者はお客様はそれを確かに求めているけれど、
市場に同じような物が既にある場合を指しています。

いずれにせよ、
ベネフィットが弱ければ「店頭で生きない」ですし、弱いベネフィットは売れる理由にはなりにくいのです。

しかし、
「素晴らしい機能」
これはちょっと違います。
店頭訴求でも、接客販売でも圧倒的な力を持ちます。
確実に上記の要素とは段違いのパフォーマンスを発揮してくれます。

もちろん、これにはきちんとした理由と裏付けがあります。

その理由については別途お話させていただけたら、
と思います。

それではまた。

 

 

管理人H