バイヤーが欲しい商品とはどんな商品ですか?
エンタトニック安藤です。
仕事柄、地方の産地やモノづくりのメーカーさんとお話しをさせていただくことが非常に多いのですが、
タイトルそのままのご質問をよく頂戴します。
この質問を私は、
「商品をバイヤーに買って貰う「手順=プロセス」を一つ一つ紐解き、
現状商品に足りていないことを確認、修正することで、
バイヤーに扱って貰える確率の高い商品に仕立て上げるための、
メーカー側で必要な、作業・改善内容を教えてください。」
と言う質問である、と認識しています。
(長くてすみません・・・。)
まさしくこの「手順」を丁寧にお伝えすることが私の仕事でもありますし、
逆に言えばこの「作業」をある程度こなせない限り、バイヤーはなかなかその商品を買わない、
とも言えると思ってます。
(そしてもちろん、
そんな不確定な多くの条件の中でも、「これを抑えておけばより高い確率でバイヤーに買って貰える」
付加すべきテクニック(作業)は今後このブログの中でも随時ご紹介していくつもりです。)
ただ、先に言ってしまえば、
「こんな商品であればバイヤーは必ず買う」
という、明確な答えは実はありません。
上記で「作業」を行えばバイヤーに買って貰える商品が用意できる、
ようなことを書いておきながら、
「いや、実はそんな商品はない」というのもおかしな話のように聞こえるかも知れませんが、
「買って貰える可能性を上げる作業」が「確実に買って貰えるモノ」にまで昇華するわけではない、
と言うことです。
あくまで、
買って貰うために必要な魅力付けを商品サイド(売り手側)ではほぼ満点にまで持ち上げることが大切、
ということです。
残る課題はバイヤーサイド(買い手側)にあります。
つまり、
「例え、メーカーサイドで万端準備整っていても、買って貰えるかは確実ではない」
と言うことです。
(え?当たり前?すみません笑)
端的にその理由を言ってしまえば、
このバイヤーサイドには、売り手側ではコントロールできない要素が数多く存在しているから、
と言えます。
例えば、
・バイヤーの好み
・店頭やオンラインショップの様々な商売コンディション
・取引条件の指標
・展開時期や期間のイメージ
などなど(詳細別途)・・・。
は業態や店、バイヤーによってそれぞれ違うのが普通です。
さらに、バイヤー(店)はそれ以外にも、様々な不確定要素を抱えているものです。
売上の進捗だったり、
気候や気温、
突発的な事故などもその要素になります。
不確定とまでは言いませんが、
商売の観点から、メーカー側の意向とバイヤー側の意図は状況次第で合致したり、
まるで合わないこともあるものです。
合わない代表例としては、
・既に競合商品がそのバイヤーのショップにあり、単純に出会う順番が遅かった。
・店頭もしくは商品のサイズ(大きさ)や、展開に関わる様々な作業量が小売サイドと折り合いが付かない。
などがありますし、
売る人買う人、お互いに人間でもありますので、
営業さんの売り込みの熱意やバイヤーサイドのやる気、みたいなモノも多少なりとも影響することもありますので、
一概に「良い商品=買われる商品」と結論付けることは難しい、と言えます。
アポのタイミングが合わなければ、
必ずしも定量的な商品の魅力を語り尽くせる環境で商談ができるとも限りません。
様々な「売り手と買い手のミスマッチ」が発生する可能性がそこら中に転がっているのです。
極端なことを言ってしまえば、
目の前のバイヤーは御社の商品が欲しいのに結果的に買われない、ということもありますし、
買われた商品が本当に目の前のバイヤーが欲しかった商品とは言い切れないこともあるのです。
つまり、
バイヤーが商品を買うまでには、先にも述べました。
予算や場所、期間等の定量的な要素から、
好き嫌い、気分、ノリなど、定性的な要素を持った商品選定基準があり、
多くの同意プロセスを経る必要がある、と言うことなのです。
ですので、
①メーカー側として「必要充分」なクオリティやプレゼンテーション素材にまで商品を仕上げるフェーズと、
②バイヤー側が自ら持つ多くの選定基準を突破させてその商品を実際に買うフェーズは、
別物なのです。
ですので、
質問にありました、「バイヤーの欲しい商品とは?」の答えは、
この2つの別のフェーズをそれぞれ十分に満たすモノとなります。
(ここにさらに「お客様に売れる商品」という条件まで加えると、
よりフェーズは複雑多岐に渡りますので、それはまた別の機会に)
これを聞くと、メーカーサイドとしては、
商品が買われるまでに多くの時間がかかってしまうし、
多くの労力が払われて余りにも大変じゃないか、
その上、結果的に採用されなかったら大損害だ。
とお考えになる方もいらっしゃるかも知れません。
いえ、
実は(全員とは言いませんが)
ベテランのバイヤーの多くは(新米であっても上司にベテランが付いていたりします。
実はその上司が曲者だったりするからややこしい時もありますが・・・。)
その多くの「選定基準」を同時多発で発動させ、瞬時にその採用可否の答えを出します。
その選定基準は、先にも触れましたが、あくまでそのバイヤーが背負ってる多くの基準です。
ですので、
買うのか、買わないのか、の判断そのものにそんなに時間はかからないのが一般的です。
正確に言えば「欲しいと思うかどうかの判断」にかかる時間はほぼ一瞬で、
買う、買わないの判断もそれほど時間を必要としません。
そして、「ここをこうしてくれたら買いたい」と言ってくれるバイヤーは、
間違いなくその商品にポジティブな側面を見出しています。
次のステップに進むチャンスを与えてもくれていますので、
出来る限りその要望に対応するのが吉、と言えます。
(当然、出来る限りには限りがありますので、無理があってはいけません。
どこまでバイヤーの要望や我儘に答えれば良いのか、の判断基準などもまた別の機会にお伝えいたします。)
もちろん、
既に充分なクオリティと実績をお持ちの商品(フェーズ①をクリアした商品)に関して言えば、
それが例え一人のバイヤーに選ばれなかったとしても、
それはあくまで「諸々条件が折り合わず、ただ縁がなかった」と捉えていただければほぼ問題ない、
と思います。
その場合は別の店のバイヤーとお話をしてみることをお勧めします。
また違ったポジティブな反応を貰える可能性があります。
是非、一度でめげずに何度でもバイヤーに積極的に売り込みをしていただきたい、と思います。
それでは今回はこれで。
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